そしたらやっぱり素晴らしかった!

ヤルヴィのベートーヴェン交響曲全集

私もそれなりにへそ曲がりもので、
みんなが「いい」というものについては
一応疑ってかかります。
十数年前にこの
パーヴォ・ヤルヴィ指揮の
ベートーヴェンの交響曲が
発売されたとき、
ネットや雑誌で評判になっていたので
気になってはいたのですが、
見送っていました。

3年前の2017年春、
ようやくCD5枚組の全集版となって
再発売されたのを機に、
聴いてみました。
そしたらやっぱり素晴らしかった!

ベートーヴェン:交響曲全集
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
ドイツ・カンマーフィル(演奏)

速めのテンポ設定と
メリハリのある打点。
90年代以降、そうした演奏が
主流となっているのですが、
その中でもさらに
躍動感を感じさせる演奏です。

特に素晴らしいのは第3交響曲です。
これまでこうした演奏による
ベートーヴェン交響曲全集は、
第3番だけ
不満が残ることがありました。
しかし、
ヤルヴィの指揮は威厳を保ちながら
足取りの流麗な英雄像を
創り上げています。

そして第9交響曲も
極上の仕上がりです。
第1・2楽章の流れるような
小気味よいリズム感、
第3楽章の美しさ、
第4楽章の精緻な構成を
浮き彫りにしたアンサンブル。
聴いていて音楽の中に
引き込まれるような感覚を覚えます。

ベートーヴェン交響曲全集は
これで決まり!
と言いたいところですが、
やはり他の演奏にも
素晴らしい点は多々あり、
これからもとっかえひっかえ
聴くことになるでしょう。
さまざまな演奏が可能である、
それがベートーヴェンの音楽の
懐の深さでしょう。

(2020.8.9)

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