ハンニガン、恐るべし!

バーバラ・ハンニガン「Crazy Girl Crazy」

クラシック音楽を聴くのは
三度の飯よりも好きなのですが、
歌曲だけはなぜか私の肌に合いません。
オペラも好きだし、
合唱曲・宗教曲も好きなのですが、
歌曲はピンとこないのです。
そんな私もこのCDは
楽しむことができました。

「Crazy Girl Crazy」
バーバラ・ハンニガン(ソプラノ・指揮)

1 ベリオ:セクエンツァⅢ
2 ベルク:「ルル」組曲
3 ガーシュウィン:
 「ガール・クレイジー」組曲
 (B.エリオット&ハニガン
  による声楽と管弦楽編)

ネットの情報で、このハンニガン、
すごいらしいと聞き及んでいました。
何がすごいのか
よく分かりませんでしたが。
でもジャケットからのけぞりました。
クラシックCDのジャケットとは
思えません。
買おうか買うまいか迷って2年。
このたびようやく入手しました。

1曲目のベリオ作曲「セクエンツァⅢ」。
歌なのか悲鳴なのか分かりません。
およそ旋律というものが
感じられないのです。
この曲は声を楽器として扱う
現代音楽なのでしょう。
録音がクリアであるために、
彼女の声が鮮明に聴き取れます。
現代音楽はなおさら音の善し悪しが
大切となるのです。

2曲目のベルク「ルル」組曲。
ここではその指揮の素晴らしさが
特筆ものです。
このまま声楽よりも指揮者に専念しても
いいのではないかと思われる、
極めて正確な指揮です。
複雑な構造の曲をきちんと整理し、
聞き手の前に提示しています。
この難曲の指揮をしながら、
同時に歌唱もこなすのですから、
その能力は驚異的です。

3曲目のガーシュインが素敵です。
ベリオやベルクと違い、
曲そのものがわかりやすい上、
盛り上がります。
当盤のジャケット写真は
この曲のイメージを
具現化したものではないかと思います。

それにしてもこのハンニガン、
オペラ作品を探してみると、
モーツァルト、グルック等に
出演しています。
それでいてこの現代作品への
適応力の高さ。
恐るべき指揮者、
恐るべきソプラノ歌手です。
彼女の声の魅力と指揮の魅力に
どっぷりとつかることができました。
買って良かったと思える一枚です。

なお、当盤には
DVDが付属しているというので、
そちらも楽しみにしていましたが、
映像の方は
あまりたいしたことはありません。
このジャケット写真同様の
パフォーマンスを行っているMVを
期待していましたが、
普通のメイキング映像です。

(2020.9.12)

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