女性作曲家による室内楽曲集CD-2

音楽界においてはまだまだ女性の地位向上は実現していない

昨日に続いての、
マカリスター三重奏団による
「女性作曲家による室内楽曲集」です。
2枚目も
新しい発見に富んだ作品群です。

「女性作曲家による室内楽曲集」
 マカリスター三重奏団
  ドナルド・ベッツ(p)
  ジョセフ・ロシュ(vn)
  カミッラ・ヘラー(vc)
〔voxbox〕CDX-5029

CD2
ファニー・メンデルスゾーン:
 ピアノ三重奏曲 ニ短調 Op.11
 マカリスター三重奏団
カレーニョ:
 弦楽四重奏曲 ロ短調
 ジョセフ・ロシュ(vn)
 ロバート・ツェルニック(vn)
 タマス・ストラッサー(va)
 カミッラ・ヘラー(vc)
シャミナード:
 ピアノ三重奏曲第1番ト短調Op.11
 マカリスター三重奏団

CD-2の筆頭は、
ファニー・メンデルスゾーン。
メンデルスゾーンのお姉さんです。
このファニーこそ、女性作曲家の
パイオニア的存在なのです。
当時のヨーロッパでは貴族の令嬢が
音楽家として身を立てるなど
あり得ないことであり、
あくまでも趣味の一環として
容認されていた程度だったようです。
弟のフェリックスが音楽家として
名をはせねば、彼女の音楽もまた
日の目を見ることはなかったのです。

この曲については以前から
CDを持っていたので知っていました
(アベッグ・トリオ TACET 81)。
劇的な曲の始まり、
そして華麗な旋律が続いていきます。
フェリックスよりも
才能があったのではないかと
思うような曲の仕上がりです。

マカリスター三重奏団の演奏は
素晴らしいと思うのですが、
私の耳にはヴァイオリンの音色が
今ひとつのように聴こえてしまい
残念です(アベッグ・トリオの演奏が
素晴らしいせいもあるのですが)。

2曲目のカレーニョは、
ベネズエラの
上流階級出身の女性であり、
ピアニスト、声楽家、作曲家、指揮者と、
幅広く活躍していました。
ここに納められている弦楽四重奏曲は、
ヨーロッバのそれとは趣が異なります。
内省的で地味な弦楽四重奏曲ではなく、
南米の風を感じるような
メリハリのある曲想であり、
十分に楽しめました。

3曲目のピアノ三重奏曲、
シャミナードはフランスの作曲家です。
フランスという
先入観のせいかもしれませんが、
フォーレやドビュッシーのような作風を
感じさせるチャーミングな曲です。
ここにはピアノ三重奏曲の第1番のみが
収録されていますが、
彼女は第2番も創り上げています。

CD-1とあわせて
7人の女性作曲家たち。
どれもこれも素敵な曲ばかりです。
これらの曲は、もちろん
当盤以外にも収録されているのですが、
検索してみるとその多くが
「女性作曲家による○○○」といった
タイトルであることに気づかされます。
音楽界においては、
まだまだ女性の地位向上は
実現していないのかも知れません。

それはともかく
聴き応えのある曲が並んでいます。
一聴の価値ありの2枚組です。

(2020.9.21)

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