そこにどんな「海」が見えるか

クラシックCDこの曲ベスト3 File-023

ドビュッシー:海

ドビュッシーの名曲「海」。
その具体的な表題、
そして
第1楽章「海上の夜明けから真昼まで」、
第2楽章「波の戯れ」、
第3楽章「風と海との対話」という
3つの副題、
さらには初版スコアの表紙に描かれた
広重の神奈川沖浪裏、
こうした要素を持ちながら本作品は、
構成に重点が置かれた
絶対音楽的な作品なのだそうです。
でも、単純な私は、
どうしても本作品を聴くと、
そこに海の風景を
見いだそうとしてしまうのです。

ロト(指揮)レ・シエクル

・管弦楽組曲第1番
・「海」~3つの交響的スケッチ

最近よく取り出して聴いている
CDの一つがこのロト盤です。
時代楽器演奏はこの曲には
ふさわしくないのではないかと
思っていましたが、意外にも
不思議な味わいが広がっていきます。
ヴィヴラートを極力抑えた演奏が、
これまでとは違った響きを
聴かせてくれるのです。

併録されているドビュッシー初期の作品
「管弦楽組曲第1番」も注目です。
なお、当盤が
世界初録音となっています。

クリヴィヌ(指揮)
ルクセンブルク・フィル

・「海」~3つの交響的スケッチ
・管弦楽のための「映像」

ベートーヴェン交響曲全集の演奏で
このクリヴィヌの素晴らしさを
知ることができました。
続いて購入したのがこの「海」です。
以来、ラヴェルの「ボレロ」、
ムソルグスキーの「展覧会の絵」と
購入しましたが、
すべてお気に入りになりました。

クリヴィヌがオーケストラを
見事にコントロールし、
美しい響きを生み出しています。
フランスの海が目の前に
広がってくるのを感じます
(フランスなど
行ったこともないのですが)。

シュイ(指揮)
シンガポール交響楽団

・ドビュッシー:
  「海」~3つの交響的スケッチ
・周龍:「深い、深い海」
・フランク・ブリッジ:組曲「海」
・グラズノフ:幻想曲「海」

こちらは
ドビュッシー以外の「海」を加えた、
「海」づくしの1枚です。
音楽的な統一感はないのですが、
あたかも世界の海を探訪しているような
イメージが広がります。

演奏は一言で言えば華やか。
指揮者シュイもシンガポール交響楽団も
全く知りませんでしたが、
好感の持てる演奏です。
目を閉じてじっくり聴くと、
色彩豊かなオーケストラの音色が
眼前に広がってきます。
しかも録音状態が良好であり、
良い音で楽しめます。

3枚とも今世紀に入ってからの録音です。
ついついこの新しい3枚に
手が伸びてしまいます。
これに次ぐのがゲルギエフ盤、
そしてインマゼール盤。
この曲は新しい録音で聴くに限ります。
もちろんミュンシュ盤や
マルティノン盤など、
往年の名盤も素晴らしいのですが。

(2020.9.26)

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