驚くべき交響曲全集、驚くべきコスト・パフォーマンス
クラシックはオペラ以外、
Blu-rayを買おうと思いません。
なぜならNHK-BSで
面白いコンサートを
ある程度撮りためているからです。
でも今回は買ってしまいました。
ベートーヴェン交響曲全集です。
聴いて驚きました。
超名演です。
ベートーヴェン:交響曲全集
デンマーク国立交響楽団
フリューベック・デ・ブルゴス(指揮)
〔Dacapo〕2012-2014年
![](https://i0.wp.com/www.xn--68j2bd00b5dpc7181c2ssb6kvp57b6yf.club/wp-content/uploads/2020/11/2020.11.14-1.jpg?resize=640%2C480&ssl=1)
Disc1
ベートーヴェン:
交響曲第1番ハ長調Op.21
交響曲第2番ニ長調Op.36
交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」
交響曲第4番変ロ長調Op.60
巨匠然とした風格を湛え、それでいて
重く引きずることはありません。
やや遅めのテンポでありながら、
ブルゴスの指揮棒は
きびきびと音楽を進行させ、
しっかりとした造形美を
創り上げています。
そしてデンマーク国立交響楽団が
エッジの効いた見事なアンサンブルで
指揮に応えています。
近年の古楽器演奏が好きな私ですが、
この演奏は惚れ惚れとさせられます。
Disc2
ベートーヴェン:
交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」
交響曲第6番ヘ長調Op.68「田園」
交響曲第7番イ長調Op.92
交響曲第8番ヘ長調Op.93
指揮者フリューベック・デ・ブルゴスは
2014年に亡くなっています。
したがってこの演奏は、
死の直前までのコンサートを
収録したものなのです。
にもかかわらず、ブルゴスの指揮棒は
冴え渡っています。
体力の衰えからか
椅子に着座しての指揮ですが、
タクトはオーケストラを
精妙にコントロールし、
音楽は一瞬たりとも
弛緩することがありません。
晩年のカラヤンやバーンスタインの
指揮姿とは全く異なります。
Disc3
ベートーヴェン:
交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱」
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
ベルリオーズ:幻想交響曲
R.シュトラウス:アルプス交響曲
〔第九交響曲ソリスト他〕
シャギムラトーヴァ(ソプラノ)
ヘレカント(メゾ・ソプラノ)
マッカリスター(テノール)
ロイター(バス)
デンマーク国立コンサート合唱団
![](https://i0.wp.com/www.xn--68j2bd00b5dpc7181c2ssb6kvp57b6yf.club/wp-content/uploads/2020/11/2020.11.14-2.jpg?resize=640%2C480&ssl=1)
圧巻は第九交響曲です。
第1楽章第2楽章では、
指揮者からもオーケストラからも
ただならぬ緊張感が伝わってきます。
第3楽章ではそれが
天国的な美しさに転化します。
そして第4楽章。
大きな感動に包まれます。
CDも含め、あまたあるこの曲の演奏の
ベストに位置づけできる
完成度の高さです。
おまけのように併録されている3曲も、
極めて素晴らしい出来映えです。
それについては
また別の機会に取り上げます。
いい買い物をしました。
CDでは録音に恵まれなかった
スペインの老指揮者、
欧州の有名楽団の影に隠れ、
今ひとつ知名度の上がっていない楽団、
メジャーとは言いがたいレーベル、
そうした要素が重なっているため、
実は全く期待してませんでした。
それでも購入した理由は次の3つです。
①今年がベートーヴェン・イヤーで、
雰囲気につられた。
②値段が超安値、¥2,990。
③パッケージが縦長ケースではなく
CDサイズであり、
CDと同じ棚に並べられる。
そんなどうでもいい理由で
つい買ってしまったのですが、
大正解・大満足です。
驚くべき交響曲全集であり、
驚くべきコスト・パフォーマンスです。
数年後には間違いなく名盤として
名を残しているはずです。
クラシックの映像作品は、
CD以上に廃盤が早く、
今後入手困難となる可能性があります。
買えるうちに買っておきましょう。
(2020.11.14)