バッハにこんなことしていいの?

エステレ・レヴァーツ/バッハ&フレンズ

今にもチェロを
たたき壊そうとしているかのような
若いお姉さん。
この不思議なジャケットに魅力を感じ、
買ってしまったCDです。
お姉さんの名前はエステレ・レヴァーツ。
ネットの商品情報には「1989年、
スイス生まれのチェリスト。
すでに数々のコンクールに入賞し
国際的なキャリアを手にしています」と
あります。

「バッハ&フレンズ」
エステレ・レヴァーツ(チェロ)

・BWV.1007~前奏曲
・ホリガー:COncErto?
・BWV.1007~アルマンド
・ダイヤー:カントゥス II
・BWV.1007~クーラント
・デュサパン:イマーゴ2
・BWV.1007~サラバンド
・ペンデレツキ:チェロのための組曲
   ~第1楽章 サラバンド
・BWV.1007~メヌエットI~II
・イサン:7つのエチュード
   ~第2番レッジェーロ
・BWV.1007~ジーグ
・サーリアホ:7羽の蝶々~第7曲
・BWV.1009~前奏曲
・ツィンマーマン:ショート・スタディ
   ~第1番
・BWV.1009~アルマンド
・ベリオ:言葉は消える
・BWV.1009~クーラント
・グバイドゥーリナ:10の前奏曲
   ~第1番スタッカート-レガート
・BWV.1009~サラバンド
・クルターグ:
  チェロのためのサイン、
  ゲーム、メッセージ – az hit
・BWV.1009~ブーレ I~II
・ルトスワフスキ:ザッヒャー変奏曲
・BWV.1009~ジーグ
・リゲティ:無伴奏チェロ・ソナタ
   ~第2楽章カプリッチョ
(2016年録音)

バッハの無伴奏チェロ組曲
第1番と第3番に、
12人の現代音楽作曲家の作品を
挟み込み、一連の曲として
演奏するという変わり種です。

バッハにこんなことしていいの?という
疑問を感じながら聴きました。
でも聴き進めると納得です。
なるほど面白い試みです。
現代音楽と交互に
演奏されることにより、
バッハの音楽が古い衣装を脱ぎ捨て、
現代風のコスチュームで
颯爽と登場したような錯覚を覚えます。
バッハの音楽はこれほどまでに
普遍的なものだったのか!
バッハを再発見した気分です。

バッハの無伴奏チェロ組曲に
他の作曲家の独奏チェロ曲を
挿入するという試みは
すでにいくつか存在しています
(私もラーデマーカースが
演奏したものを所有しています)。
でもその多くは当盤のように
一曲の中の小曲に挟み込むのではなく、
曲と曲との間に挿入するものです。
そのためCD3枚組程度の
膨大な長さとなり、通
して聴くことが困難になるのです。
その意味でも当盤は魅力的です。

無伴奏チェロ組曲の
第1番と第3番のみですが、
音楽の愉しさは存分に味わえました。
企画の面白さだけではなく、
彼女のチェロ自体が
十分に魅力的だからでしょう。
技能を判断する能力を
私は持ち合わせていませんが、
味わい深い音色を響かせていることは
理解できます。

できれば彼女の(企画ものではない)
本格的な演奏を聴いてみたい、と
思って調べたら、すでに
ベートーヴェン(第5番)、
ブラームス(第1番)、
R.シュトラウスのチェロ・ソナタを
組み合わせた盤が
リリースされていました。
こちらも近いうちに
聴いてみたいと思います。

(2020.11.22)

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