決闘!ポルポラ対ヘンデル

今、古楽が面白い!

またまた魅力的なCDに
出会うことができました。
「決闘!ポルポラ対ヘンデル」と
題された本盤、文字通り
18世紀ロンドンで活躍していた
ポルポラヘンデルの曲を
並べたものです。

ヘンデル:
 アリア「イルカナの岩屋に」
ポルポラ:
 アリア「海を統べる神よ」
ポルポラ:
 レチタティーヴォ
  「甘美といえば、夕暮れに高台で」
 アリア「かの万能なる腕により」
 「ポリフェーモ」序曲
 アリア「この手に受けるのは」
ヘンデル:
 アリア「不実なる戯れで」
ポルポラ:
 アリア「喜びを切に待ち望み」
ヘンデル:
 「アリオダンテ」舞踏組曲
ポルポラ:
 アリア「玉座から立ち上がれ」
ヘンデル:
 レチタティーヴォ
  「人でなしの兄弟、暴虐なる母」
 アリア「苦々しき涙のうちに」
ポルポラ/ヘンデル編:
 アリア「ふいに降り注ぐ雷が」

ジュゼッピーナ・ブリデッリ(Ms)
ル・コンセール・ド・ロステル・デュー
フランク=エマニュエル・コント
 (cemb・指揮)
2018年録音

ヘンデルといえばかつては
「水上の音楽」
「王宮の花火の音楽」といった管弦楽曲や
「合奏協奏曲Op.6」、
オラトリオ「メサイア」ぐらいしか
CDを見かけなかった気がするのですが、
現在はかなりの数のオペラ作品が
登場しています。
本盤にもオペラ「アルチーナ」
「アリオダンテ」からのアリアが
並んでいます。

でも、注目すべきは
ポルポラの方でしょう。
私は本盤に出会うまで
この作曲家の名前を知りませんでした。
ヘンデルよりも1年遅い
1686年生まれであり、
作曲家としてより
音楽教師としての才能に
優れていたようです。
なんと有名な
カストラートのファリネッリや
作曲家ハイドンを
指導したとのことです。

1729年に「反ヘンデル派」によって
ロンドンへ招聘され、
オペラ興業に取り組んだようです。
当時すでにオペラによって
名声を得ていたヘンデルへの
対抗馬として
白羽の矢を立てられたのでしょう。
まさに本盤のような作品の
上演の応酬によって
ポルポラ対ヘンデルの「Duel(決闘)」が
成されていたのです。

聴き比べると、両者の作品に優劣など
つけられようはずがありません。
現代に名を知る人こそ
少なくなったにせよ、
ポルポラの作品はヘンデル同様、
魅力に溢れています。

演奏ですが、近年売り出し中の
ブリデッリの歌唱が光ります。
また、古楽器演奏団体の
ル・コンセール・ド・ロステル・デューは、
これらの曲を刺激的に演奏しています。

クラシックを聴くようになって30年、
気付くと交響曲を中心に
同曲異盤ばかり多くなり、
ベートーヴェンの
交響曲全集にいたっては
30組以上を購入してしまいました。
いやいや、
もっと面白い音楽があるはずと、
最近はいろいろな盤を探しています。
中でも古楽の分野はめざましい勢いで
素敵な盤が登場しています。
楽しみは尽きません。

ジュゼッピーナ・ブリデッリの歌唱は
 YouTubeでも公開されていました。

(2021.1.9)

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