ロッホランのブラームス

忘れ去ってしまうには惜しい指揮者・ロッホラン

なるべく新しい音楽を、と
常日頃思っているのですが、
こと交響曲に関しては、
私の中では時計の針が止まっています。
ここ10数年、
新しい録音の盤を購入していません。
ブラームスの交響曲全集も、
唯一ガーディナー盤のみが
21世紀に入ってからの録音で、
あとはアーノンクール、ヴァント、
アバド、カラヤン、ザンデルリング、
スヴェトラーノフ、ベーム、
ヨッフム、クレンペラーと、
すべて20世紀のものです。
その中で、本盤ロッホラン盤は
地味なのですが、大好きな演奏です。

ブラームス:交響曲全集
Disc1
・悲劇的序曲 Op.81
・アルト・ラプソディOp.53
・交響曲第1番ハ短調Op.68
Disc2
・大学祝典序曲Op.80
・ハイドンの主題による変奏曲Op.56a
・交響曲第2番ニ長調Op.73
Disc3
・交響曲第3番ヘ長調Op.90
・交響曲第4番ホ短調Op.98
Disc4
・ハンガリー舞曲第1・3・19番
・ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77

ジェイムズ・ロッホラン(指揮)
ハレ管弦楽団
モーリス・アッソン(vn)
(協奏曲:ロンドン・フィル)

ブラームスの交響曲は多くの指揮者が
「立派に」演奏しようとして、
重厚すぎてしまったり
(ザンデルリング盤)、
煌びやかになってしまったり
(カラヤン盤)、
異形になってしまったり
(クレンペラー盤)、
破裂してしまったり
(スヴェトラーノフ盤)しています。
その点、本盤はごく自然体で、
すっきりした演奏です。
特別なことをやろうとせず、
曲自体の「うま味」を引き出そうとする
指揮ぶりです。
ハレ管弦楽団も、超一流とは
言いがたいのですが、
誠実に演奏しています。
バルビローリの後を継いで
ハレ管の音楽監督に就任したのが
ロッホランでした。
そのせいもあるのでしょう、
バルビローリからの流れを
感じさせるような味わい深い演奏に
成功しています。
録音も決して悪くはありません
(やや低音不足の感はあるが)。

ロッホランは1931年生まれですから、
今年ですでに90歳。
バルビローリほど有名には
ならなかったためか、
その録音の多くが
廃盤の憂き目に遭っています。
忘れ去ってしまうには
惜しい指揮者だと感じます。

(2021.1.10)

2件のコメント

  1. 初めまして、私もこの全集は大切にしています。ある日(昔々)、NHK-FMでこのコンビの1番とアンコールでハンガリー舞曲の1番のライヴ演奏が放送され、とても白熱演奏だったのでこの全集を入手しました。ライヴの方が白熱したものでしたが、この全集も大切な存在です。
    同じ趣味の方がいらしてとても嬉しくなったのでコメントします。

    1. こんばんは。コメントありがとうございます。
      クラシック情報誌やネット上で、
      ロッホランを評価している記事を
      見ることがほとんどなく
      私自身も不安に思っていたところでした。
      この盤を愛好していらっしゃる方を知り、
      私も心強く思った次第です。
      これからもどうぞよろしくお願いします。

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