ビーバーのロザリオ・ソナタ

「古楽」という魅力ある世界

値段の安いCDなら、
自分の知らない分野にも
思い切って手を出すことができます。
今回は古楽です。
私はCDを6,000枚ほど
所有しているのですが、
古楽については
せいぜいヴィヴァルディが
あるくらいです。
そんな中で見つけた一枚。
ビーバーの「ロザリオ・ソナタ」です。
2枚組でなんと773円
(Amazon最後の一枚価格)。

ビーバー「ロザリオ・ソナタ」
第1番ニ短調「受胎告知」
第2番イ長調「訪問」
第3番ロ短調「降誕」
第4番ニ短調「拝謁」
第5番イ長調「神殿のイエス」
第6番ハ短調「オリーヴの山で苦しみ」
第7番ヘ長調「鞭打ち」
第8番変ロ長調「茨の冠をのせられ」
第9番イ短調「十字架を背負う」
第10番ト短調「磔刑」
第11番ト長調「復活」
第12番ハ長調「昇天」
第13番ニ短調「聖霊降臨」
第14番ニ長調「聖母被昇天」
第15番ハ長調「聖母の戴冠」
パッサカリア ト短調

Julia Wedman(vn)
Felix Deak(vc)
Lucas Harris(theorbo)
Charlotte Nediger(org)
Julia Seager-Scott(hp)
2010年録音
〔Sono Luminus〕DSL-92127

この「ロザリオ・ソナタ」は
ビーバーの代表作として
知られています(私はこれすら
知りませんでしたが)。
調べてみると、この曲は
当時のヴァイオリン演奏技法を
集大成したとのことです。
確かにヴァイオリンの技巧的な部分での
聴きどころもいくつか聴き取れます。

さらにこの曲は、
各曲に付された標題でわかるように、
聖母マリアとキリストの生涯を、
受胎告知からキリストの受難、復活、
聖母マリアの戴冠までのストーリーに
沿った15の場面に分け、
それら15のソナタと
「守護天使」を表す無伴奏の
パッサカリアから構成された
作品なのだそうです。
聴き通してみると確かに、
そこにドラマティックな展開を
感じさせます。

他の楽器はほとんど目立たず、
ヴァイオリンだけが
クローズアップされた構成であり、
ヴァイオリンの音色に
どっぷりと浸かれる曲です。
おそらくヴァイオリニストの
特質によって受ける印象が
異なってくると思われるのですが、
このウェドマンという
ヴァイオリニストは
端正な弾き方で好感が持てます。
検索してみると、やはりYouTubeに
インタビュー動画らしきものが
アップされていました。

古楽の素晴らしさを
堪能できた一枚です。
他の演奏家の盤も聴いてみたいと
思うような曲でした。
まだまだクラシック音楽には
魅力ある世界が広がっているのだと
痛感しました。
クラシック音楽を聴き始めて30年、
古楽を敬遠していたのですが、
もったいないことをしていました。

(2021.1.16)

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