クレール=マリ・ル・ゲのラヴェル

「有名曲」と「隠れた名曲」のカップリングは素敵!

ラヴェルのピアノ協奏曲が好きで
買ってしまったCDの一枚です。
以前、私の好きな
ラヴェルのピアノ協奏曲として、
ユジャ・ワン盤、
グリモー盤、
ヴィニツカヤ盤の3枚を挙げました。
その3枚のどれかと交換しても
いいようなCDは、
実は近年何枚も出現しています。
その1枚が本盤です。

ラヴェル:
 ピアノ協奏曲ト長調
 左手のためのピアノ協奏曲ニ長調
シュールホフ:
 ピアノと小オーケストラのための
  協奏曲第2番 Op.43 WV66

クレール=マリ・ル・ゲ(p)
リエージュ・フィルハモニー管弦楽団
ルイ・ラングレー(指揮)

ル・ゲのピアノは、
全体的にテンポの速い演奏で、
確かな技巧を感じさせます。
ただ、聴き手の
好みの問題となるのですが、
私にとっては
ややせわしなく感じてしまいます。
しかしその分、
第2楽章の透明感はピカイチです。
第2楽章でさえも
やや速めのテンポながら、
ピアノの音に艶があり、
宝箱から宝石を一粒一粒
こぼれ落としたような音楽が
紡がれていきます。
速いテンポの第2楽章のこの曲に、
あまりいいと思ったものは
ありませんが、
当盤はル・ゲのピアノの音色が
素晴らしい魅力となっているのです。

もう一つの聴きどころは
併録されているシュールホフでしょう。
こちらもチャーミングな曲です。
ジャズのテイストのあふれる
ラヴェルとシュールホフの
2曲を収めるという、
この組み合わせの妙が、
このアルバムを
素敵なものにしています。

ラヴェルの生年は1875年。
シュールホフは1894年。
シュールホフの方が
二世代ほど年下なのです。
しかし両曲の成立年を見てみると、
ラヴェルのピアノ協奏曲が
1931年なのに対して、
シュールホフの協奏曲は1923年。
8年も早いのです。
ラヴェルのピアノ協奏曲よりも
8年早く誕生していた
ジャズ・テイストのピアノ協奏曲。
そんな隠れた名曲に光を当てた当盤は、
それだけでも
十分な価値があるといえます。

「有名曲」と「隠れた名曲」の
カップリングによって、
「隠れた名曲」に光を当てる。
そうした企画が増えてきているのは
喜ばしいことです。
「有名曲と隠れた名曲の
カップリング盤」を、
これからも探していきたいと思います。

(2021.2.13)

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