デ・ヴィートのベートーヴェン

古くてもいいものはいい

どちらかというと
新しい録音のものが好きです。
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲も
コパチンスカヤ、
バティアシュヴィリ、
ファウスト、
ヤンセンなどの演奏を
最近はよく聴いています。
でも、古い録音でも
音が良くて演奏が素晴らしいものは
たくさんあります。
当盤などはその代表格でしょう。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
ジョコンダ・デ・ヴィート(vn)

ベートーヴェン:
 ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61
RIAS交響楽団
ゲオルク・ルートヴィヒ・ヨッフム(指揮)
録音:1954年

ブラームス:
 ヴァイオリン・ソナタ
  第2番イ長調Op.100
ヴィターリ:シャコンヌ ト短調
ミヒャエル・ラウハイゼン(p)
録音:1951年

デ・ヴィートについては
フルトヴェングラーとの
ブラームスの協奏曲で、
そのヴァイオリンの素晴らしさを
知りました。
2015年にこの録音が新発見され、
発売されましたが、
1954年の録音であり、
あまり期待していませんでした。
ところが予想に反して高音質。
モノラル録音でありながら、
デ・ヴィートの
艶やかなヴァイオリンの音が、
余すところなく収められています。
古い録音であっても、
そしてモノラル録音であっても、
これなら音楽を楽しめます。

ベートーヴェンの
ヴァイオリン協奏曲は、
3楽章でありながら
演奏時間は通常40分を超え、
交響曲並みの
ボリュームとなっています。
その割と
展開の起伏に乏しい面が見られ、
下手な演奏や音質の良くない録音では、
どうしても退屈に
感じられてしまうのです。
曲そのものではなく、
演奏の技巧やテンポ設定、
ヴァイオリンの音色の美しさや
録音のみずみずしさで
聴きどころを創らなくてはならない
曲だと思うのです。
それが今から60年以上前の録音で
しっかり聴かせられるのですから
見事としか言い様がありません。

古くてもいいものはいいのです。
音楽の愉しみは尽きません。

(2021.4.10)

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