フェビュスよ進め~14世紀南フランスの宮廷音楽

ウエルガス・アンサンブルの素敵な一枚

60枚組のCD-BOX
「vivarte 60CD collection」には、
素敵な音楽がぎっしり詰まっています。
3週間ほどで
ほぼすべて聴き終えましたが、
感動の連続です。
先日、リュートとチェンバロの曲を
取り上げましたが、今日は合唱です。
これがまた素敵な一枚です。

「フェビュスよ進め
  ~14世紀南フランスの宮廷音楽」

・トラキアのアオンの山は(作者不詳)
・うとうとしていると(トレボール)
・フェビュスは地から昇り
 毒を吹き込む者たち
 二つの角で(作者不詳)
・とてもやさしい友よ(作者不詳)
・高らかに歌
 世の王候たちよ(作者不詳)
・くすぶった男が(ソラージュ)
・深い森の中に
 水をたたえる流れと(作者不詳)
・もしやガラードや
  (ジャン・キュヴリエ)

ウエルガス・アンサンブル
パウル・ファン・ネーヴェル(指揮)
録音:1991年

古楽に縁遠かった私にとって、
ほとんど未知の世界なのですが、
愉しく聴くことができました。
現代日本の合唱曲の好きな私ですが、
古楽の合唱も
素晴らしいと思えた次第です。
何よりもこの
ウエルガス・アンサンブルの
ハーモニーが美しいのです。
調べてみるとこの団体は、
ベルギーの古楽専門の声楽・器楽
アンサンブルなのだそうです。
HMV等で検索しても、
数多くのCDをすでに創り上げています。
知らなかった!

演奏団体の技能も
もちろん高いのですが、
録音も素晴らしいと思います。
音がクリアでこれらの音楽の姿を
余すところなく再現できていると
思うのです。特に
無伴奏合唱の曲の美しさは絶品です。

最後に収録されている
キュヴリエの「もしやガラードや」が
特に気に入ったのですが、
他のCDを検索しても
当盤しか出てきません。
かなり珍しい音楽を集めた
一枚のようです。

その反面、よくわからなかったのが
6曲目のソラージュ作曲
「くすぶった男が」です。
何人かの低域の男声を積み重ねて
うねらせたような音楽が
7分36秒間続きます。
作品の表題としては
「燻った男が喫煙する」というのが
一般的なようですが、
ここでいう「煙」とは煙草ではなく
阿片のことだそうです。
麻薬に溺れた男たちが
呻いている様子に聞こえてきて、
何やら不気味です。しかしそれも
古楽の奥深さなのでしょう。

クラシック音楽を趣味としてすでに
30年以上がたっているのですが、
古楽という素敵な世界を
知らないまま過ごしてきた時間が
もったいなかったと感じています。
いやいや、まだまだ時間はあります。
クラシック音楽の森の奥深くに
さらに広がっている古楽の世界を、
十分に探訪したいと思います。

(2021.5.22)

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