ガーシュインの時代の空気を愉しむ

ガーシュイン10CD-BOX

ここ1週間ほど、
このボックスを聴いていました。
ガーシュインの10CDーBOXです。
数年前に確か2000円程度の
格安価格で購入し、
一度聴いたきりになっていた
ボックスです。

「GEOGE GERSHWIN
        10CD-Collection」

CD 1
Gershwin plays Gershwin
Rare Recordings 1932-35
CD 2
George Gershwin:
Instrumental works
 for the concert hall
CD 3
Gershwin On Screen I:
“Girl Crazy” & “Rhapsody In Blue”
CD 4
Gershwin On Screen II:
“Shall We Dance”,
“Damsel In Distress” a.o.
CD 5
Gershwin On Screen III:
“Strike Up The Band”,
“Broadway Rhythm”,
“Ziegfeld Follies” and
“The Shocking Miss Pilgrim”
CD 6
Gershwin:
Early Recordings of the 20’s
Broadwayshows and Musicals
CD 7
Gershwin:
the later broadway-musicals
CD 8
Gershwin:
Great Songs
 Presented By Great Stars
CD 9
Gershwin in Jazz
CD 10
Blue Monday
 – A One Act Jazz Opera

しばらく聴いていなかった理由は何か?
音が貧しいからです。
よくわからないまま購入したのですが、
昔の音源ばかりです。
純粋なクラシック音楽を期待して
買ったものですから、
がっかりした記憶があります。
しかも内容も
クラシック音楽とは言い難く、
ポップスからジャズにかけての音楽が
ほとんどです。
でも、改めて聴くと、
愉しさでいっぱいです。

CD1、2は、
ガーシュインの自作自演集といった
ところでしょうか。
CD1は1932年~35年の
「レア録音集」。冒頭の
「ラプソディ・イン・ブルー」からして
音質がすこぶる悪いので閉口します。
CD2は
「コンサートホールでの録音集」。
有名曲が並んでいるのですが、
こちらも音は良くありません。
しかし、それに慣れてくると、
いかにも古き良きアメリカの匂いが
漂い始めてくるのです。

CD3~5は、「映画音楽集」、
CD6、7は、「ミュージカル音楽集」。
まるで白黒映画が始まるかのような
音楽が続きます。
これまたなんともいえない雰囲気です。
こちらも録音は50年代頃ではないかと
推測されます(詳しいデータは
一切記載されていない)。

CD8、9は「ジャズ音楽集」。
顔ぶれを見ると、
有名どころが並んでいます。
ベニー・グッドマン、
ビリー・ホリディ、
ナット・キング・コール、
ビング・クロスビー、
チャーリー・パーカー、
チェット・ベイカー、
ソニー・ロリンズ、
メル・トーメ、
ズート・シムズ、
サラ・ヴォーン、
エラ・フィッツジェラルドと、
豪華な布陣です。
ちょっとしたジャズ入門ともいえる
内容です。

CD10は、
私にはよくわからない一枚です。

CD10:1曲目は
一幕もののジャズ・オペラ
「ブルー・マンデー」ということですが、
原題は
「135番街 135th Street」らしいです。
M.アンドレーエ指揮、
スイス・イタリア放送管の演奏ですが、
検索してみると
「135番街 135th Street」
Aura Classicsレーベル〔AUR174〕と
同一の録音のようです。

CD10:2ー9曲目はピアノ曲集です。
ピアニストは
フランソワ・ジョエル・ティオリエ。
おそらくはビクターからでている
邦盤VICC-68からの
抜粋と考えられます。
CD10の1–9までは音質が良く、
鑑賞に十分堪えうるのですが、
それ以降はまた古い録音が並びます。

CD10:10ー16曲目は
「映画オリジナルサウンドトラック集」
でしょうか。
一転してプチプチ音の混じる
古い世界へと
タイムスリップしていきます。

この一組は、
ガーシュインの音楽を愉しむ、
というよりも、
ガーシュインの時代の空気を愉しむ
ための一組と割り切るべきです。
スピーカーの向こうに、
20世紀前半のアメリカの風景が
見えてくるかのようです。
純粋なクラシック音楽をお求めの方は
絶対に手を出してはいけない
一組ですが、
ガーシュインの音楽が好きな方は
ぜひ手元に置いておくべき一組です。

このメンブランというレーベル、
こうした不思議な10枚組ボックスを
多数製作しているのですが、
知らぬ間に廃盤となり、
入手不可能となるケースが
多いようです。
気になる方はお早めに。

※CD10のピアノ曲は音質・演奏ともに
 申し分ありません。
 ガーシュインのピアノ曲集を、
 そのうち購入したいと思いました。

(2021.6.21)

【当盤鑑賞に最適のSAKE】

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