ギィのベートーヴェン・ピアノソナタ全集

バランス感覚に秀でたピアノ・ソナタ全集録音

ベートーヴェン・イヤーの昨年、
次から次へと
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集が
発売になりました。
全集ともなると
CD9~10枚組で高価となるので、
おいそれと手が出せません。
それでも我が家のCD棚には
ピアノ・ソナタ全集BOXが
増えてきました。
その中でも比較的よく手に取るのが
このギィの録音です。

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ全集」
フランソワ=フレデリク・ギィ

Disc1
ソナタ第14番嬰ハ短調op.27-2「月光」
ソナタ第9番ホ長調op.14-1
ソナタ第10番ホ長調op.14-2
ソナタ第11番変ロ長調op.22
Disc2
ソナタ第8番ハ短調op.13「悲愴」
ソナタ第5番ハ短調op.10-1
ソナタ第6番ヘ長調op.10-2
ソナタ第7番ニ長調op.10-3
Disc3
ソナタ第13番変ホ長調op.27-1
ソナタ第12番変イ長調op.26
ソナタ第4番変ホ長調op.7
Disc4
ソナタ第15番ニ長調op.28
ソナタ第19番ト短調op.49-1
ソナタ第20番ト長調op.49-2
ソナタ第21番ハ長調op.53
Disc5
ソナタ第16番ト長調op.31-1
ソナタ第17番ニ短調op.31-2
ソナタ第18番変ホ長 op.31-3
Disc6
ソナタ第23番ヘ短調op.57「熱情」
ソナタ第25番ト長調op.79
ソナタ第24番嬰ヘ長調op.78
ソナタ第28番イ長調op.101
ソナタ第22番ヘ長調op.54
Disc7
ソナタ第1番ヘ短調op.2-1
ソナタ第2番イ長調op.2-2
ソナタ第3番ハ長調op.2-3
Disc8
ソナタ第26番変ホ長調op.81a
ソナタ第27番ホ短調op.90
ソナタ第29番変ロ長調op.106
Disc9
ソナタ第30番ホ長調op.109
ソナタ第31番変イ長調op.110
ソナタ第32番ハ短調op.111

フランソワ=フレデリク・ギィ(p)
録音:2009年~2012年

ギィのピアノの良さは、バランス感覚に
秀でていることではないかと感じます。
不自然なまでに強弱を付けてみたり、
必要以上のタメを造ってみたりと
いうことがありません。
それでいて表情に
乏しいということはなく、
豊かな表現力を保っているのです。
やり過ぎることなく
曲を見事なまでに形作っていく。
そこが素晴らしいと思います。

また、
メロディ・チャオやHJ.リムのように
流麗さを持ちながらも、
要所要所で力強さを発揮するのが
ギィの持ち味です。
もちろん強音でも響きの濁らない
明晰なタッチです。
この点も特筆ものです。

BOXすべてを聴き通すのに
時間がかかる関係上、
素人には演奏どうしを比較するのが
どうしても困難であり、
これ以上のことを説明するのは
私にはできないのですが、
私にとっては今のところ
もっとも「いい」と感じる全集です。

もちろん
グルダの全集も素晴らしいし、
バックハウスのステレオ録音も
大事にしたいし、
バレンボイムのDG旧録音も
捨てがたいし、
ケンプの全集も味わい深いし、
ブレンデルの1回目3回目の
全集も素敵だし、
ギレリスの選集も立派な演奏です。
やはり音楽は素晴らしい。
演奏の数だけ感動があります。
これからも
十分に愉しみたいと思います。

(2021.7.25)

【当盤鑑賞に最適のSAKE】

※ベートーヴェン・ピアノソナタに
 ついての記事です。

※ベートーヴェンの
 ピアノ・ソナタ全集を
 聴いてみませんか。

※音楽をいい音で聴きませんか。

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