木下牧子「方舟」

学級合唱の思い出に繋がる特別な一枚

合唱が好きで、
合唱曲のCDも集めています。
特に好きなのは木下牧子の「方舟」。
「方舟」が収録されたCDを
5組ほど持っているのですが、
最初に買ったのが本盤でした。
この盤は私の学級合唱の指導の
思い出に繋がる、特別な一枚です。

木下牧子混声合唱作品集
「ティオの夜の旅」

木下牧子混声合唱作品集「ティオの夜の旅」

木下牧子:
 混声合唱組曲「方舟」
  水底吹笛
  木馬
  夏のおもひに
  方舟
 混声合唱組曲「ティオの夜の旅」
  祝福
  海神
  環礁
  ローラ・ビーチ
  ティオの夜の旅
 夢みたものは
鈴木成夫(指揮)
東京外国語大学
 混声合唱団コール・ソレイユ
山内知子(p)
録音:1995年

このCDを購入したのは
約四半世紀ほど前。
NHK全国学校音楽コンクール
TVで見ていたとき、
ある学校の歌った「方舟」に
いたく感動し、
本CDにたどり着いた次第です。
全10曲、どれも聴き応えがあり、
この盤から合唱の素晴らしさ、
奥深さを知ることができました。
でも、やはり何度も繰り返して
聴いたのは「方舟」です。

この組曲「方舟」は
なんでも作曲家・木下牧子の
合唱デビュー作(1980年作曲)
なのだそうです。
本盤の演奏団体
東京外国語大学混声合唱団
コール・ソレイユの委嘱により
作曲され、初演(指揮も
本盤の鈴木成夫)されています。

さて、(単独の)「方舟」は、
聴くだけに止まらず、なんとか
学級合唱で実現させたいと思い、
楽譜を購入しました。
音楽の先生からは「中学校の
学級合唱では無理なレベル」と
言われました。当然です。
合唱そのものの難しさに加え、
4分の5拍子をこなせる指揮者と
速いテンポで小刻みな和音の連続する
伴奏を弾きこなせるピアニストが
必要でした。
そうした学級と出会えるタイミングを
待ちました。

そうしたら
平成15年に受け持った3年生が、
なんとか形だけ
こなすことができました。
指揮者が優秀で
4分の5拍子を完璧に振り、
ただピアニストが腱鞘炎気味になり、
校内合唱コンクール本番は
いたる所で破綻しかけ、
合唱は細部まで手が回らず、
お世辞にも「完成」などとは言い難い
出来でしたが、
子どもたちはみな満足していました。

さらに
平成20年に受け持った3年生は、
指揮者だけでなく
ピアニストも問題なく弾ききり、
合唱も楽譜どおりにでき、
それなりのものができました。
プロの方々からすれば
精度の低い綻びだらけの
演奏なのでしょうが、
中学校の学級合唱としては
最上級のものだったと確信しています。
こちらもいい思い出となっています。

今では学級担任を外れたため、
学級合唱に関わることはありませんが、
本盤を聴くたびに、
「方舟」に取り組んだ
二つの学級の子どもたちの顔が
浮かんできます。
本盤は、
私にとってそういう盤なのです。

(2021.8.15)

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