美人ジャケットは愉し

三浦友理枝の美しいラヴェル:ピアノ協奏曲

「ジャケ買い」という言葉が
あるくらいですから、
中身ではなくジャケットの良さで
CDを買ってしまう人間は、
世の中にさぞかし多いことでしょう。
私もその一人です。
美人さんの写っている
ジャケットを見つけると、
迷いなく「ポチ」っとやってしまいます。
最近の女性演奏者は
みな才色兼備となり、
嬉しいかぎりですが、
日本人アーティストであれば
この方です。

ピアノ協奏曲ト長調
 ~ラヴェル:ピアノ作品集
三浦友理枝

ラヴェル:
 ピアノ協奏曲 ト長調
 亡き王女のためのパヴァーヌ
 古風なメヌエット
 ソナチネ
 高雅にして感傷的なワルツ
 水の戯れ

三浦友理枝(p))
オーケストラ・アンサンブル金沢
ケン・シェ(指揮)
録音:2008年、2009年

まずジャケット写真が素晴らしいです。
水色の衣裳と水色の背景。
曲目の最後に配された「水の戯れ」を
映像表現したかのような
見事なデザインです。
友理枝さんの美しさが
一層際だっています。
さすがエイベックスの制作陣。
アイドルのCD制作で
手慣れたものなのでしょう、
他の友理枝さんのジャケットも
すべて高い完成度となっています。
このジャケットを見ながら聴く
ラヴェル:ピアノ協奏曲」、
なかなか乙なものです。

演奏ももちろん素敵です。
友理枝さんの流麗かつ繊細なピアノは
ラヴェルの音楽を
しっかりと表現しています。
協奏曲第2楽章の独奏部の美しさは
見事です。聴きどころを十分に
押さえていると思います。
第3楽章でもオケに
絡みつくようなタッチには、
技巧の高さを感じます。
「亡き王女のパヴァーヌ」での
陰影に富んだ表現など、
その音色も本人同様、
美しさに満ちていると思います。
単なるアイドル・ピアニストなどでは
ありません。注目すべき
邦人女性ピアニストと感じます。

ただ、残念なのはピアノ協奏曲での
オーケストラのもったりとした演奏が、
友理枝さんのピアノを
生かし切れていないことです。
そのため、ピアノ協奏曲の方は、
並み居る名盤たちに
今ひとつ及んでいない印象を受けます。
その分、5曲収録された独奏曲の方が
聴き応えがあります。
この盤は、友理枝さんのこの5曲で、
十分だと思えるくらいです
(プロデューサーがこの5曲のかわりに
「左手のための協奏曲」を
入れようとしていたら、
大変なことになっていたかも!?)。

実は友理枝さんにさらに
お姉さんたち二人を加えたトリオでの
「ラヴェル:ピアノ三重奏曲」も
購入しています。こちらも素敵です。
音盤は耳だけではなく
目も愉しめるのです。
「音楽は愉し」を越えた「音盤は愉し」。
みなさん、
目でも楽しめる音盤はいかがですか。

(2022.1.9)

【当盤鑑賞に最適のSAKE】

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