マットイス・ピペラーレを知っていますか?

ウエルガス・アンサンブルによる貴重な演奏

有名曲も十分に
収められているのですが、
超マニアックな曲も
ふんだんに収録されている
「vivarte 60CD collection」
第2集に入れられている本盤は、
かなりマニアック度の高い一枚と
考えられます。
マットイス・ピペラーレ[c1450-1515]。
作曲家の名前です。
みなさん知っていましたか?

「マットイス・ピペラーレ作品集」

マットイス・ピペラーレ:
 バラード「愛の女神さま」
 シャンソン
  「陽気にしていて、女神のようで」
 ミサ曲
  「今はもう、ただ死を心待ちに」
 アンティフォン「サルヴェ・レジナ」
 モテット
  「忘れないでください、
   キリストの母なるかたよ」
 ミサ曲「武装した人」

ウエルガス・アンサンブル
パウル・ヴァン・ネーヴェル(指揮)
録音:1995年

私の愛用している三省堂の
「クラシック音楽作品名辞典」には、
マットイス・ピペラーレなる
作曲家の名前はありませんでした。
ネットでも作曲家の情報は
検索に引っかかりません。
Matthaeus Pipelareで検索して
はじめて外国のページが見つかります。

私が理解できたのは断片的なのですが、
このマットイス・ピペラーレは、
ルーヴァン出身、
つまりベルギー生まれであり、
若いときはアントワープ
(首都ブリュッセルに次ぐ第二の都市)で
過ごしたようです。
同時代の多くの音楽家が
イタリア、スペイン、または
他の場所へ遊学したのとは異なり、
祖国オランダを離れることなく
音楽を学びました。
1498年、セルトーヘンボス
(オランダ南部の街)の合唱団長となり、
1500年まで
その役職に就いてたようです。
その作曲のスタイルは多岐にわたり、
器楽曲こそ発見されていないものの、
声楽曲については
当時のあらゆる形式の音楽を
作曲したようです
(語学力にはまったく自信のない
私です、さらに調べて間違いがあれば
訂正していきたいと思います)。

聴いた限り、非常に洗練された
音楽だと感じられます。
以前取り上げた
フレーチャ[1481-1553]も
ほぼ同じ世代
(やや遅く生まれている)ですが、
フレーチャが土俗的な音楽を
創り上げたのに対して、
マットイス・ピペラーレは
都会的といえるでしょう。
ウエルガス・アンサンブルの
透明感あるポリフォリーなコーラスが、
マットイス・ピペラーレの
創り上げた音楽の魅力を
十全に表現しています。

CDを検索しても、
マットイス・ピペラーレの曲だけで
構成されたものは、本盤以外は
「Paradise Regained-masses:
The Sound And The Fury」という
一枚しか見当たりません
(こちらの盤はジャケットが
綺麗なお姉さんが写っていて
魅力的であり、なんとかして
購入したいと考えているのですが)。
あとはオムニバスの盤の中に
1、2曲含まれている程度です。
その意味でも本盤の存在は貴重です。

このBOXに入っていなければ
出会うことのない音楽だったのだと
思います。
こうした出会いを
大切にしていきたいと思います。

(2022.3.26)

【当盤鑑賞に最適のSAKE】

【関連記事:vivarte-BOX】

【マットイス・ピペラーレのCD】

【こんなCDはいかがですか】

【今日のさらにお薦め3作品】

コメントを残す