少年の名はマラン・シャプトー

将来が楽しみな12歳の演奏

クラリネットの音色が好きです。
ところがヴァイオリンやピアノと違い、
クラリネットが主役となっているCDは
意外と少ないのです。
何か面白いものはないかと探していて
見つけたのがこの盤です。
ジャケット写真の愛くるしい顔の少年。
なんと12歳のときの演奏。
その少年の名はマラン・シャプトー。

マラン・シャプトー
「プロディジュ」

モーツァルト:
 クラリネット協奏曲イ長調
  K.622より第2楽章
シドニー・ベシェ:可愛い花
ブルッフ:8つの小品より第3曲
ショスタコーヴィチ:
 舞台管弦楽のための組曲より
  ワルツ第2番
ミシェル・コロンビエ:
 「エマニュエル」
グノー:「アヴェ・マリア」
パウル・ユオン:
 「3つの小品」より「夢想」
 「3つの小品」より「エレジー」
モリコーネ:
 映画「ミッション」より
  「ガブリエルのオーボエ」
プロコフィエフ:
 「ピーターと狼」より「猫」
プッチーニ:
 歌劇「トスカ」より「星は光りぬ」
ニーノ・ロータ:
 クラリネット、vc、pのための
  三重奏曲よりアンダンテ
ウェーバー:
 クラリネット五重奏曲変ロ長調より
  第2楽章、第4楽章

マラン・シャプトー(cl)
メルヴィル・シャプトー(p)
ゴーティエ・カプソン(vc)
アルマンス・ケロ(vc)
オーヴェルニュ室内オーケストラ
ロベルト・フォレス・ヴェセス(指揮)

ネットの情報を見ると、
この少年はフランスで毎年末に行われる
「Les Prodiges」なるTV番組において、
2016年度の優勝者になったとのこと。
ジャケット裏の写真を見る限り、
つかっているクラリネットは
通常のものより一回り
小さいものではないかと思われます。
でもCDを聴く限り、彼の
クラリネットは十分に歌っています。
技術的にはまだ未熟なところが
あるのでしょうが、
それは致し方ありません。
まだ12歳なのですから。

曲は多岐にわたっています。
こうしたプログラムでのCDが
なかなか見つからなかったのです。
確かにモーツァルトの協奏曲や
ウェーバーの五重奏曲の
全曲ではなく抜粋演奏ですから、
クラシックCDとしては
「あまちゃん」といわれても
仕方ないかもしれません。
本格的なプログラムは
確かに重要ですが、しかし
こうしたCDが音楽の愉しみを
もたらしてくれるのです。
知らない作曲家の作品も含まれていて、
愉しみはさらに広がりそうです。

できれはアイドル的な売られ方は
して欲しくありません。
今後数年、じっくり研鑽を積んで、
今度は本格的なプログラム、
できれば私の好きなコープランド
クラリネット協奏曲あたりを
吹き込んだアルバムで
再デビューする日が来ることを
期待して待ちたいと思います。
そしてそのとき同好の士と
こんな会話ができればいいなと
考えています。
友「今話題のクラリネット奏者、
  シャプトーがすごいね。」
私「若いのに腕の立つ
  いいソリストだね。」
友「実はあのシャプトー、
  十年前まだ少年だった頃に
  デビューアルバムを出してるんだ。
  今となっては幻のCDと
  いわれてるんだけど。」
私「確かに良かったね。
  荒削りだけど将来を
  期待できそうな演奏だよ」
友「何、その聴いたことがあるような
  口ぶり。」
私「俺、それ持ってるし。」

※マラン・シャプトー君の演奏は、
 YouTubeで観ることができます。

(2022.4.3)

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