モテット、百花繚乱

17世紀のモテット集

「vivarte 60CD collection」
第1集第2集に収録されている
計120枚のCDには、
マニアックな作曲家に焦点を
絞ったものも多々あるのですが、
いろいろな作曲家の小品を集めた、
いわゆる「オムニバス盤」も
いくつか存在しています。
本盤もその一枚であり、
17世紀に活躍した作曲家の
モテット」を集めています。

「17世紀のモテット集」

マイヤー:
 主は王なり(詩篇92番第1節)
マツァーク:
 マニフィカト
リットラー:
 アヴェ・レジナ・チェロールム
  (めでたし天の女王)
エンドレス:
 おお,恵み深き乙女マリア
シュメルツァー:
 わが心は定まらず
アウフシュナイター:
 わが心 ただ侮辱と悲惨を
  (詩篇68番21-22節)
フックス:
 正しき者の魂は神の御手に
ベルナルディ:
 マニフィカト
シュタードゥルマイヤー:
 しずくが天からしたたりて
ドーラー:
 サルヴェ・レジナ
ポリエッティ:
 アヴェ・レジナ・チェロールム
  (めでたし天の女王)
ビーバー:
 魂よ,怖じることなかれ
ホーファー:
 主のしもべらよ,主を讃えよ
  (詩篇112番)
フックス:
 乙女マリアの連祷

コンラート・ルーラント(指揮)
ニーダーアルタイヒ・スコラーレン
録音:1992年

モテットとは何か?
確たる定義はないようですが、
一般にはミサ曲を除く
教会で演奏されたポリフォニー音楽を
総称してそう呼ぶようです。
15世紀から16世紀にかけて、
ルネサンス様式のモテットが
多数作曲されましたが、
バッハ以降は教会音楽の必要性
そのものが薄れたため、
音楽におけるモテットの比重も
それに合わせて
小さくなっていきました。
本盤はバッハ以前の、
つまり「モテット」の最後期に
咲き誇っていた作品を集めたものです。
17世紀にはこれだけの
完成された作品が花開いていたことに
驚かされます。
まさに百花繚乱といえるでしょう。

この時期のモテットは
世俗性が完全に失われているものの、
ミサ曲ほど重くなく、
したがって愉しんで聴くことができる
作品ばかりです。
特に9曲目の
シュタードゥルマイヤーの
「しずくが天からしたたりて」などは
明るい気分させてくれる素敵な曲です。
11曲目のポリエッティの
「アヴェ・レジナ・チェロールム」も
心に染み入るような旋律が魅力的です。

こうした「オムニバス盤」で
気に入った作曲家の、他のCDを探して
聴いているのですが、
上に挙げたシュタードゥルマイヤーや
ポリエッティなどは、
単独で編まれているCDを
見つけることはできませんでした。
本盤はかなり珍しい作曲家の
作品を集めているようです。

演奏している
ニーダーアルタイヒ・スコラーレンは、
「聖母マリアの生涯」
「グレゴリアン・チャントの神髄」でも
清楚な音楽を創り上げていますが、
本盤はまた格別の美しさです。
心が洗われていくようです。

小粒ながらキラリと光る宝石たちを
集めた「17世紀のモテット集」。
まさにvivarte-BOXらしい一枚です。

(2022.4.16)

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