素朴で暖かい、コスターのナチュラル・ホルン

モーツァルトのホルン協奏曲全集

クラシック音楽はどちらかというと
堅苦しいイメージがつきまといますが、
この曲なら
リラックスして聴くことができます。
モーツァルトのホルン協奏曲です。
独奏楽器としてのホルンの温かい音色、
モーツァルトの軽快な旋律、
それが古楽器演奏なら
なおさら素敵に響きます。
「vivarte 60CD collection」の中の
一枚です。

BOX-Ⅱ Disc31
モーツァルト:ホルン協奏曲集

モーツァルト:
 ロンド 変ホ長調 K.371
 ホルン協奏曲
  第2番変ホ長調 K.417
  第3番変ホ長調 K.447
  第4番変ホ長調 K.495
  第1番ニ長調K.412(386b)

アブ・コスター(ナチュラルhrn)
ターフェルムジーク・バロック管
ブルーノ・ヴァイル(指揮)
録音:1992-1993年

一時期までは
「第1番」から「第4番」という、
番号順に作曲されたと考えられていた
モーツァルトの
ホルン協奏曲全集なのですが、
近年の研究では2、4、3、1の順で
作曲されたと考えられています。
当盤もその順に演奏されています。

アブ・コスターは
1951年ハーグ生まれの
オランダのホルン奏者です。
1977年から1990年まで
北ドイツ放送交響楽団の首席奏者、
1980年からは
ハンブルク音楽大学教授を務めるなど、
実績豊富な演奏家です。
モダンホルンのみならず
ナチュラル・ホルンにおいても
ソロ奏者としての優れた技量を見せ、
18世紀オーケストラや
ターフェルムジーク・バロック管で
活躍しています。

そのコスターの
ナチュラル・ホルンの音色は
素朴でありながらも暖色を帯び、
朗々と響き渡ります。
ヴァイルの指揮は、
他の録音で見せた軽快感は
やや抑えられ、
ホルンが引き立つような
じっくりとした伴奏となっています。
もちろん爽快に駆け抜ける場面も
随所に見られます。
ターフェルムジークの演奏も
完璧であり、聴き飽きることのない
アンサンブルを披露しています。

私は以前、歴史的録音のブレイン盤と
タックウェルがデッカに入れた録音の
ふたつがあれば
あとはいいのではないかと
思っていましたが、
この盤はそれら以上に
モーツァルトの音楽の魅力を
伝えてくれます。

なお、この盤のさらなる特徴は、
第1曲目に入れられている
「ロンドK.371」が
音楽研究者・レヴィンの補筆による
完全復元盤であることと、
他の録音とは明らかに異なる
フレーズが登場する「第1番」
(やはりレヴィン補筆)の面白さです。
一聴の価値ありです。

この盤で私は
ナチュラル・ホルンなるものの音色に
興味を持ちました。
このあと面白そうな録音を
探してみたいと思っています。
やはり、音盤は愉し、です。

(2022.7.9)

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