「ドイツ・バロック・カンタータ集」を味わう

リ・アンジェリ・ジュネーヴの突き抜ける美しさ

カンタータといえば
どうしてもJ.S.バッハの曲ばかりが
注目されがちです。
しかし大バッハは、
ドイツ・バロックのカンタータの
流れの中の一点にすぎない
(巨大な一点ではあるのですが)ことが、
この盤からはわかります。
バロック期ドイツの3人の作曲家
(ブクステフーデバッハテレマン)の
カンタータを並べた一枚です。
名盤ぞろいの
「vivarte 60CD collection」の中でも
珠玉の一枚です。

BOXⅡ Disc60
ドイツ・バロック・カンタータ集

ブクステフーデ:
 カンタータ
  「イエス、わが喜び」BuxWV.60
J.S.バッハ:
 モテット第3番
  「イエス、わが喜び」BWV.227
 カンタータ第81番
  「イエス眠り給いて、
   われ何をか望むべき」BWV.81
 カンタータ第180番
  「装いせよ、
   おお愛する魂よ」BWV.180
テレマン:
 カンタータ
  「装いせよ、おお愛する魂よ」

リ・アンジェリ・ジュネーヴ
ステファン・マクラウド(指揮)
録音:2009年

演奏団体の
リ・アンジェリ・ジュネーヴは、指揮の
ステファン・マクラウドが立ち上げた、
ピリオド楽器アンサンブルと
声楽アンサンブルの混合体です。
器楽伴奏は、
少人数でのピリオド楽器使用ですので、
音の輪郭が明確であり、
すっきりとした見通しの良い音楽を
展開しています。
録音も優秀であり、
音像の定位もしっかりしていて、
楽器一つ一つが
聴き取れるかのようです。
しかし聴きどころはそれ以上に
声楽の方にあります。
精緻なアンサンブルであることは
いうまでもありませんが、
艶のある音に仕上がっていて、
美しいことこの上ありません。
中でもソプラノの
突き抜けていくような美しさは
特筆ものです。

こうしたアンサンブルの
高度な技能により、
1曲目のブクステフーデでは、
曲の持つ素朴で奥深い味わいが、
十全に表現されています。
3曲収録されている大バッハ作品も、
他の団体とは異なる、
透明感に満ちた清々しい音を
響かせています。
最後のテレマンも同様です。
テレマンの残した1700曲あまりの
カンタータの1曲から、
驚くほど新鮮な魅力を引き出すことに
成功しています。

「vivarte 60CD collection」には、
声楽アンサンブルとして、
ウエルガス・アンサンブルを筆頭に、
ラ・カペラ・ドゥカーレ、
ニーダーアルタイヒ・スコラーレンなどが
名前を連ねていますが、
このリ・アンジェリ・ジュネーヴを含め、
声楽の魅力を
たっぷりと愉しむことができます。
vivarte-BOXは、
名盤のぎっしり詰まった
古楽の宝箱であるとともに、
声楽の宝石箱でもあります。
やはり、音盤は愉し、です。

※指揮のステファン・マクラウドも
 バリトン歌手であり、おそらく
 指揮をしながら歌っていると
 考えられるのですが、
 演奏会では
 どのようにしているのでしょうか?
 自分のソロの部分は客席に
 振り返って歌っているのでしょうか?
 実演を見てみたい…。

(2022.7.16)

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