リナ・トゥール・ボネのビーバー・ヴァイオリン・ソナタ

バロック期のヴァイオリン・ソナタは愉し

リナ・トゥール・ボネのエネルギッシュな
ヴァイオリンに魅せられて、
また購入してしまいました。
これで8枚目です
(当サイトで取り上げたのは5枚目)。
今回はビーバーです。
以前取り上げたロザリオ・ソナタに続く
ビーバー録音であり、
1681年にニュルンベルクで出版された
8つのヴァイオリン・ソナタから
4曲を収録してあります。

ビーバー:ヴァイオリン・ソナタ集

ビーバー:
 ヴァイオリン・ソナタ集
  ソナタ第3番ヘ長調
  ソナタ第5番ホ短調
  ソナタ第1番イ長調
  ソナタ第6番ハ短調
 「技巧と楽しみの調和」より
  2本のヴィオラ・ダモーレのための
   パルティータ第7番ハ短調

リナ・トゥール・ボネ(vn)
ムジカ・アルケミカ
録音時期:2021年

ハインリヒ・ビーバーは、1644年に
オーストリアで生まれた作曲家であり、
ヴァイオリニストでもあります。
資料を見ると、
1668年から1670年の間、
チェコのクロムニェジーシュ城の
ヴァイオリニストを務めた後、
ザルツブルクの宮廷楽団の
ヴァイオリニストとなり、
次いで1684年には、
同楽団の宮廷楽長となったとあります。
その経歴が裏付けるように、
非常に優れた技術を持つ
ヴァイオリニストであり、
変則調弦(弦楽器の調弦を
通常とは異なる調にし、
響きや音色を変化させる技法)である
スコルダトゥーラという技法を
多用した作品など、
当時としてはかなり高度な技術を
必要とする作品が多いのが特徴です。

リナは「ロザリオ・ソナタ」でも
見せたように、
情熱的かつ刺激的な演奏を繰り広げ、
1時間超の録音を、
全く飽きさせることなく
聴かせてくれます。

聴き終えた後の快感は、
作品の持つ魅力によるものなのか、
それともリナの奏でる
ヴァイオリンの作用なのか、
ビーバーのソナタ集を初めて聴く私には
判別がつかつきません。
もしかしたら他の演奏者の盤を
聴いていたならば、
リナの解釈がどれだけ革新的なのか
さらに理解できたのではないかと
考えています。

なお、YouTubeでも本盤の
録音の一部を聞くことができます。

さらに、映像で見るリナは、
もっと刺激的です。

それにしても
古楽に接していない時期が長かった
私にとって、
「ヴァイオリン・ソナタ」という形式は、
ヴァイオリンとピアノの
二重奏だとばかり思っていました。
それは古典派以降のものなのでした。
本盤のビーバーのソナタといい、
以前取り上げたシュメルツァー
ヴァイオリン・ソナタといい、
バッハ以前の作曲家たちの
複数の楽器が加わる
ヴァイオリン・ソナタの魅力を
味わっているところです。

本盤も伴奏を受け持つ団体
ムジカ・アルケミカの編成を見ると、
ハープシコード&オルガン、
テオルボ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、
ヴァイオリン&ダブルベース、
ハープ、ヴィオラ・ダ・モーレ、
リュートと多彩です。
曲によってこれらがいろいろと現れ、
色彩の変化のような楽しさがあります。

バロック期にこのような魅力的な
ヴァイオリン・ソナタを作曲したのは、
ビーバーやシュメルツァーだけでなく、
コレッリ、ジェミニアーニ、
ヴェラチーニ、ロカテッリなど、
まだまだたくさん控えています。
一つ一つ聴いていく愉しみが
まだまだあるということです。
やはり、音盤は愉し、です。

(2022.8.14)

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