レオンハルトによる素敵なクラヴサン曲集

クラヴサン?ハープシコード?チェンバロ?

古楽演奏を集めた
「vivarte 60CD collection」の中でも
存在感を示しているのが
グスタフ・レオンハルトです。
指揮者としての録音もあれば、
鍵盤楽器奏者としての盤もあります。
その鍵盤楽器にしても、
オルガンもあれば
チェンバロもあります。
今日取り上げるのはレオンハルトの
「クラヴサン」演奏です。
でも、クラヴサンって何?

BOXⅡ Disc14
フランス・クラヴサン作品集

フォルクレ:
 クラヴサン組曲ニ長調
 クラヴサン組曲ト短調
クープラン:
 威厳またはフォルクレ
デュフリ:
 フォルクレ

グスタフ・レオンハルト(クラヴサン)
録音:1991年

クラヴサンとはどんな楽器かと
調べてみるとチェンバロのことでした。
ドイツ語のチェンバロ(Cembalo)は、
英語ではハープシコード
(harpsichord)ということは
理解していましたが、
フランス語ではクラヴサン(clavecin)。
なんとややこしい。そしてそれらが
全く同じものかといえば、
決してそうではないところが
なお複雑なところです。
レオンハルトが
この録音で使用した楽器は、
発売元のネット情報(日本語)では、
上に記したように
「クラヴサン」となっていますが、
ジャケット裏の表記では
「harpsichord」になっています。
一体どっち?

そのような疑問をとりあえずおいて、
本盤をじっくり聴き込めば、
レオンハルトによるクラヴサンの
柔らかく暖かい音色が
心に染み込んできます。
その表現には品格があり、
典雅さを感じさせます。
ピアノと異なり、
鍵盤へのタッチの加減で
強弱を表現することのできないのが
クラウザンやチェンバロです。
表現方法に制約がある以上、
クラヴサンやチェンバロの方が
演奏は難しいと思います
(技術を要するのはピアノだと思うが)。
当盤をはじめとする、
このvivarte-BOXに収録されている
レオンハルトの演奏は、
その制約を乗り越え、
実に陰影深く音楽を
創り上げていることに気づかされます。
やはり希有な演奏家なのだと感じます。

本盤に収録されている
三人の作曲家のうち、
アントワーヌ・フォルクレは、
フランスのバロック音楽の作曲家です。
マラン・マレとともに
ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の
ヴィルトゥオーゾの双璧と
呼ばれていました。
マラン・マレがその暖色系の音色から
「天使のようなマレ」と
呼ばれたのに対して、フォルクレは
「悪魔のようなフォルクレ」と
呼ばれていました。
それだけ表現が過激で
鬼気迫るようなものがあったことが
推察できます。

フランソワ・クープランもまた
フランスを代表する作曲家であり、
多くの音楽家を輩出した
クープラン家の中でも
特に有名な一人です。
収録されている
「威厳あるいはフォルクレ」は、
もちろんアントワーヌ・フォルクレの
ことです(フォルクレも
「クープラン」という曲を残している!)。

ジャック・デュフリもまた
クラヴサン曲集を4巻創り上げた
フランスの作曲家です。
収録されている「フォルクレ」も、やはり
アントワーヌのことなのでしょう。
本盤はアントワーヌ・フォルクレを
中心とし、そのつながりから
編み上げたクラヴサン曲集なのです。

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この一枚で、クラヴサン曲集の魅力を
知ることができました。
やはり、音盤は愉し、です。
さて、世の中には
「クラヴサン曲集」なるものが
どれだけあるのかと調べてみると、
ブリリアントというレーベルから
「フランスのクラヴサン音楽集」という
素敵なボックス・セット(29CD)が
発売されていました。

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