ラモー「イポリートとアリシー」組曲を聴く

ラモーの魅力を十分に堪能できる管弦楽組曲版

「vivarte-BOX」第1集第2集計120枚に
含まれていない作曲家に
ラモーがいます。
「DHM-BOX」には幸いにも
第1集に3枚、第2集に1枚、
計4枚のラモー作品収録盤が
収められています。
今日はその中でももっとも
ラモーの音楽が愉しめる一枚を
取り上げてみました。

DHM-BOX1

BOX1 Disc38
ラモー:
歌劇「イポリートとアリシー」組曲

DHM-BOX1 Disc38

ラモー:
 歌劇「イポリートとアリシー」より
  管弦楽組曲一序幕つき5幕の悲劇

シギスヴァルト・クイケン(指揮)
ラ・プティット・バンド
録音:1978年

ジャン=フィリップ・ラモーは、
1683年生まれ(没年1764年)の、
バロック期のフランスを代表する
作曲家であり、
音楽理論家でもありました。
作品としてはクラウザン曲なども
創り上げているのですが、
40代以降は
オペラに創作の軸足を移しています。

1683 Rameau

歌劇「イポリートとアリシー」は
1733年に作曲されています。
それまでに器楽作品の作曲家、
そして和声学の理論家として
名を成していたラモーが、50歳にして
初めて完成させたオペラです。
分類としては「叙情悲劇」に
属する作品であり、18世紀に見られる
独特の形式となっています。
「叙情悲劇」とは、
古代ギリシャや古代ローマの神話、
もしくはイタリアの
ロマンティックな叙事詩に基づいて
創られた歌劇の総称です。
「悲劇」と名付けられてはいるのですが、
筋書きの結末は
必ずしも「悲劇的」ではなく、
むしろ「悲劇的」でない
作品の方が多いのです。
ただし物語の持つ雰囲気は、
高貴で高尚なものでなければ
なりませんでした。

今日のオススメ!

この「叙情悲劇」の様式は、
リュリが導入したのが始まりでしたが、
そのあとを継いだのが
ラモーだったのです。
「叙情悲劇」の典型的な
5幕もので書かれた
ラモーの5つの作品は、
「叙情悲劇」の傑作といわれています。
ちなみにその5作品は以下の通りです。
・「イポリートとアリシー」(1733)
・「カストールとポリュックス」(1737)
・「ダルダニュス」(1739)
・「ゾロアストル」(1749)
・「ボレアド」(1763)

さて、本盤はオペラそのものではなく、
管弦楽組曲盤となっています。
録音された1978年当時、
まだまだラモーのオペラは
一般的ではなかったのでしょう、
オペラの旋律の豊かな部分を
管弦楽編曲し、抜粋しています。
とはいえ、全27トラック、
51分の演奏時間ですので、
全曲の1/3程度収録されているのです。
なお、「DHM-BOX」には、本盤以外にも、
「ダルダニュス」「プラテー」
「優雅なインドの国々」などの
管弦楽組曲が収められています。

この管弦楽編曲版ですが、
聴いている分には、やはり
「悲劇的」な部分はまったく感じられず、
軽快でリズミカルな部分の多い
印象を受けます。
シギスヴァルト・クイケンが指揮する
ラ・プティット・バンドは、
このオペラ作品の持つ
音楽的エッセンスを余すところなく
表現し尽くしています。
とりわけ木管の音色が美しく、
素朴でありながらも気品のある音楽に
仕上がっています。
ラモーのオペラの魅力を
十分に堪能することができます。

こうなると、
オペラ全曲盤を聴いてみたいという
気持ちが沸き起こってきます。
CDを探してみると、
何点かヒットするのですが、
廃盤状態のものが多いようです。

オペラは近年、Blu-rayで探した方が
流通しているものが多く、
CDよりも安価であったりします。
この作品についても
いくつか見つかります。

こうして次から次へと
興味がつながっていってしまいます。
音楽の楽しみはつきません。
やはり、音盤は愉し、です。

(2023.4.1)

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