ユングヘーネルによるヴァイスのリュート曲

ヴァイスのリュート曲に癒やされる

現在ではほとんど使用されなくなった
古楽器の一つにリュートがあります。
「vivarte-BOX」のキルヒホーフによる
ヴァイスのリュート曲を
愉しみましたが、
この「DHM-BOX」にも
ヴァイスのリュート曲が
収められています。
演奏者はユングヘーネル。
疲れた心を癒やしてくれる、
安らぎの音楽となっています。

DHM-BOX2

BOX2 Disc50
ヴァイス「序曲と組曲」

BOX2 Disc50

ヴァイス:
 序曲 変ロ長調
 組曲 第17番 ヘ短調
  I. Allemande
  II. Courante
  III. Sarabande
  IV. Bourrée
  V. Tempo di Minuetto
  VI. Gigue
組曲 第21番 ト短調
  I. Prélude
  II. Andante
  III. Passepied
  IV. Bourrée
  V. Sarabande
  VI. La Babilieuse en Menuet
  VII. Gigue
組曲 ニ短調
  I. Prélude
  II. Allemande
  III. Courante
  IV. Bourrée
  V. Menuet
  VI. Sarabande
  VII. Menuet
  VIII. Gigue

コンラート・ユングヘーネル(lute)
録音:1984年

シルヴィウス・レオポルト・ヴァイスは、
ドイツ後期バロック音楽の
作曲家兼リュート奏者です。
1687年生まれ、1750年没ですから、
バッハの2年後に生まれ、
同じ年になくなっているという、
バッハと完全に同世代の
作曲家となります
(本盤ジャケットには1686年生まれと
表記されているのですが、
1687年誕生が確からしいようです)。

1687 Weiss

リュート音楽を多作した作曲家であり、
確定しているだけでも
約650曲に及ぶ作品があります。
その中から選曲された4曲ですが、
どれも味わい深いものがあります。
リュート音楽を数多く
聴いてきたわけではないので、
確かなことはいえませんが、
このヴァイスの曲は、
どことなく哀しげな憂いを秘めた旋律が
心に染みてくるようです。

演奏している
ユングヘーネルのリュートは、
「vivarte-BOX」のキルヒホーフよりも
やや重めに感じますが、
非常に艶のある音色を響かせています。
ヴァイスの曲の持つ陰影の部分を、
実によく表現していると思います。
ユングヘーネルは、
16~18世紀のリュート作品の演奏に
力を入れているリュート奏者であり、
本盤もその持ち味が十二分に
発揮されたものといえるでしょう。
現代最高のリュート奏者の演奏を
堪能できる一枚となっています。

ヴァイスのリュート曲を
もっと聴いてみたいと思い、
検索してみるのですが、
多くは表示されません。
おそらく音盤は限られたものしか
出ていないのでしょう。
約650曲のうち、
まだまだ音盤に収録されていないもの、
もしくは
正確に復元されていないものなどが
相当数あるのでしょう。
これからの新録音の登場が
楽しみな分野です。

〔ユングヘーネルによるヴァイス録音〕

〔キルヒホーフによるヴァイス録音〕

〔開拓されるヴァイスのリュート曲〕
NAXOSレーベルから、
ヴァイスのリュート曲の録音が
続々とリリースされています。

さて、リュートという楽器ですが、
音色はクラシックギターに
近いものがあります。
こうして録音されたものを聴くと、
ギター以上に艶のある美しい音色に
魅了されるのですが、
実演にはハンディのある
楽器だったようです。
ギターも音量が小さな楽器なのですが、
リュートはそれよりも小さく、
加えて早く交代する和音への対応が
困難だったこともあり、
バロック音楽とともに
その役割を終えます。

リュート音楽も、
これから次第に発掘され、
音盤化されていくのでしょう。
注目していきたいと思います。
やはり、音盤は愉し、です。

(2023.4.8)

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