ビルスマによるボッケリーニ・チェロ協奏曲

ボッケリーニ再発見のための2枚

ボッケリーニはどことなく
地味なイメージ(その音楽ではなく、
存在が)がつきまとい、これまであまり
聴いてこなかったのですが、
「vivarte-BOX」に収録された盤
「チェロ協奏曲集」「チェロ・ソナタ集」
「スターバト・マーテル」
その味わいを知ることができました。
「DHM-BOX」にも収録されていて、
それが今日のこの一枚です。

DHM-BOX1

BOX1 Disc14
ボッケリーニ
チェロ協奏曲&シンフォニア

BOX1 Disc14

ボッケリーニ:
 チェロ協奏曲第7番 ト長調 G480
 シンフォニア 変ロ長調 G497
 チェロ協奏曲第10番ニ長調 G483
 シンフォニア ニ短調 G506
  「悪魔の家」

アンナー・ビルスマ(vc)
ジーン・ラモン(指揮&vn)
ターフェルムジーク・バロック管
録音:1988年

今日のオススメ!

「vivarte-BOX」の
「チェロ協奏曲集」と同じく
ビルスマのチェロと
ターフェルムジークの
伴奏となっています。
ビルスマのチェロは、
ここでも端正で折り目正しい演奏を
聴かせてくれます。
やや枯れた色彩を持つ、
朴訥としたバロック・チェロの音色が、
ボッケリーニの音楽の奥にある滋味を
十全に引き出しています。
完璧な技巧で聴かせるカデンツァは、
ビルスマの真骨頂とも
いうべきものであり、圧巻です。
ターフェルムジークも
きびきびとした進行で、
チェロを支えています。
古楽器団体特有の
スタイリッシュな演奏であり、
聴いていて心が躍らされます。

「vivarte-BOX」の盤も、
この盤に続けて再度聴いてみました。

vivarte-BOX
ボッケリーニ「チェロ協奏曲集」

ボッケリーニ「チェロ協奏曲集」

ボッケリーニ:
 序曲ニ長調 G521
 チェロ協奏曲ニ長調 G476
 八重奏曲 ト長調 G470
 チェロ協奏曲ハ長調 G573
 シンフォニア ハ短調 G519

アンナー・ビルスマ(vc)
ジーン・ラモン(指揮&vn)
ターフェルムジーク・バロック管
録音:1992年

92年録音のこちらの盤は、
88年録音盤を
補完するためのものだったのでしょう。
この2つの盤は、本来1セットで
あるべきもののようです。

ただし、ボッケリーニの
チェロ協奏曲は12曲あり、
2枚に収められたのは
G476、G480、G483、G573の
4曲にとどまっています。
1965年の旧録音も、G477、G479、
G480、G481だけでしたので、
ビルスマはボッケリーニの
チェロ協奏曲の全集完成には、
あまり興味がなかったのかも
知れません。

1743 Boccherini

さて、
ボッケリーニのチェロ協奏曲といえば、
長らく「第9番変ロ長調G482」でした。
フルニエの名盤があり、
私も聴いてきましたが、
こちらはグリュッツマッハーという
チェロ演奏家の校訂譜による演奏です。
ところがこの校訂譜は、
第2楽章が他作品から
差し替えられていたり、
他の作品の楽章や断片が実にたくみに
組み合わせられたりしていて、
「校訂」などと呼べるものではなく、
むしろ「編作」であり、
近年は「グリュッツマッハー編曲版」と
但し書きがされるようになりました。
この編曲版を嫌う音楽関係者も多く、
「改竄版」という表現も見られます。
かといって「原典版」は
(私はまだ聴いたことがないのですが)、
「グリュッツマッハー版」を
聴いてしまった耳には、いささか
退屈に思える部分が多いとのことです。
ビルスマがこの「第9番協奏曲」を
取り上げなかったのは、もしかしたら
賢明な判断かも知れません。

ビルスマとターフェルムジークの
この2枚があれば、
ボッケリーニのチェロ協奏曲を含む
オーケストラ作品の愉しさを
十分に味わえます。
ボッケリーニ再発見のための
2枚といえそうです。
やはり、音盤は愉し、です。

〔ビルスマによるボッケリーニ作品〕
ビルスマの演奏による
ボッケリーニ作品は、
他に室内楽があります。

〔ボッケリーニ「チェロ協奏曲全集」〕
全12曲の全集録音は少ないようです。
以下の盤が見つかります。

〔「スターバト・マーテル」〕
ボッケリーニの作品では、
「スターバト・マーテル」が
隠れた名曲です。
本サイトでも取り上げました。

ボッケリーニを、
もっと愉しんでいきたいと思います。

(2023.7.16)

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